ジャネット・レドモンドは、人に敬われる眼科医であり、医療の実践を着々と積み上げていた。だが、彼女は、それまでの人生で遭遇したことがない大きなショックを受けたのである。38歳のジャネットは、自分はまさにアメリカン・ドリームを生きていると思っていた。高収入、美しい家、安定した家族生活、そして、上流クラスの居住地域。一人娘は、大学に進み、ジャネットと夫の2人で育んだ巣を飛び立っていた。その一人娘が家を出てすぐのことだった。ジャネットの夫が、家を出て、若い秘書と一緒になると宣言したのである。
ジャネットは打ち砕かれた、と言うだけでは言葉が足りない。夫がどこに不満を持っていたか、ジャネットにはまったく分からなかった。確かに、ここ何年かで何キロか太ってしまった。でも、まだ、体型は美しい方だし、大きく張りのある胸も、形の良いお尻も自慢できると思っていた。
多分、仕事に時間を割きすぎたのかもしれない。しかし、多くの患者を抱えた医師である以上、多少の犠牲は仕方ないと思った。服装が地味すぎる傾向があったから、とも思った。服装のことについては、娘に何万回も言われていた。だけど、人に尊敬される医師としては、生真面目すぎる服とまでは行かなくても、その職業に見合った服装をすべきであると感じていた。
あとは、セックス。まあ、確かに、その点は、もう何年も前から道端に置き去りにしてきたようなものと言える。職業上の責務があまりに多く、個人的な時間を取るのがほぼ不可能となっていた状態だった。その状態の犠牲となったのがセックスだった。
ジャネットは鏡の中を見た。鏡の中、とても愛らしくセクシーな女性がいた。青みがかった緑の瞳、スタイリッシュにショートに決めたブロンドの髪、そして、さほど悪くはない体型。175センチの身長だから背が低いわけでもないし、60キロの体重は、太ってるとは言いがたい。もっとも、ジャネットは、時々、その60キロの重みはすべて胸に詰まっているのではないかと感じることがあった。
ジャネットは自分が魅力的に見えているという自覚があった。(娘に勧められて)体にぴったりのセーターを着て、短いスカートを履いた時などに、男性たちが見る視線をはっきり知っている。冷たい空気の中、深呼吸したときや、特に興奮した時など、大きな乳首が固くなり、どうしても、それが外から見て分からないようにすることができないことがあった。ええ、そうよ、正直言って、この大きな乳首、最近、いつも固くなっているように思えて仕方ないわ。
ジャネットは、男性から注目されるのが嫌いなわけではなかった。ただ、保守的な性格のため、そういう視線を楽しめることがめったにないということなのである。大半の男性は、そういう彼女を性的な対象として見ているということは知っていた。確かに、そのことで興奮し、下着を濡らしてしまうこともあったが、逆に、自分が肉の塊となってしまったような気がして、怒りを感じることもあった。だが、そういう風に二通りに感じる女性はたくさんいるということもジャネットは知っていた。これは、女性にとっては永遠のパラドックスだということを。
ジャネットは、今でも、セックスが楽しかった頃のことを覚えていた。性的な器官全体を荒波が洗うように、快感と苦痛が混じった興奮を与えられるのを、毎日のように楽しみにしていた日々。だが、それは仕事と家庭が軌道に乗る前の時代だった。
自分でも、セックスに関しては、世界中で最も創造性に溢れた女性ではないのは知っていたし、多分、すこし、引っ込み思案な方だろうとは思っていた。それでも夫のロジャーは不平を漏らさなかった。それに、ここ2年ほど、ジャネットは、気がつくと、自分で認める以上に、セックスのことについて思いふけっていることが多かった。時々、容姿の素敵な男性を見ると、体全体が少し火照り、顔が熱くなり、心臓がどきどきするのを感じることがあった。ジャネットは、それは多分ホルモンのせいだろうと考えることにしていた。以前、本で、30代の女性はセックスの点で絶頂期にあると読んだことがあった。だが、ここ2年ほど、ロジャーとジャネットは、せいぜい2週間に1度だけで、それすらないこともあったのである。
寝室でセクシーな衣装を着て性生活に刺激を与えようとしたことがあったが、それもうまくはいかなかった。ロマンティックに、ろうそくをともしたディナーを用意したこともあった。それに、突然、休暇をとって驚かせ、ニュー・イングランドの人里はなれた小さな旅宿に逃避旅行をしたこともあった。だがいずれも効果はなかった。今や、そのわけがはっきり分かったのである。ロジャーは若い愛人を作っていたのだ。どうしてそんなことに気づかなかったのだろう。なんてバカだったの。ジャネットは何度も自問した。
このショックから立ち直るのに、1年以上かかった。ようやくにして、娘や友人たちの励ましもあって、ジャネットはゆっくりながらも気落ちした状態から立ち直っていた。実際、男性とのデートも始めたのである。そのデート相手の中に、出会って数ヶ月で結婚を申し込んできた男性がいた。ウェインという名である。
しかし、ジャネットは、まだ結婚に飛びつく心の準備ができていなかった。もう少し辛抱してくれるよう頼み、ウェインの申し出は断ったのである。もっと時間が必要だと。立ち直る時間。自分を見つけなおし、自分が何を求めているかはっきり自覚するための時間。そういう時間が必要だと、彼に告げた。しかし、実際は、ジャネットにはそれ以上の理由があった。先の性的な憧れの気持ちである。その憧れのため、彼女は、仕事や大半は退屈だった私生活よりももっと意味のあることが人生には存在すると思うようになっていた。
ウェインは良き男性だった。尊敬されている小児科医で、何年も前に妻を癌で失っていた。ウェインの最も良きところは、ジャネットを女王様のように扱ってくれる点だった。デートを始めて数ヵ月後、ジャネットは彼に身を委ね、2人はセックスをした。ウェインは、ベッドでも良き男性だったし、持ち物の使い方もよく心得てはいた。だが、彼もまたジャネットと同じく、保守的で、変わったことを試みようとはしなかったのである。特に、オーラル・セックスは拒絶したのだった。ジャネットは、セックスに関して、そのオーラルの方面が欠けていることを残念に思った。
ウェインと異なり元夫のロジャーは、オーラル・セックスが得意だった。何時間も口を使ってジャネットを喜ばすことがあった。ジャネットは、ロジャーと別れてからは、そのような高みに行ったことがない。夫の口唇奉仕に、ジャネットも時々、お返しをしてあげたが、彼女の本心では、あまり好きな行為ではなかった。ひどく不潔に思えたから。もちろん、飲み下したことは一度もなかった。
しかし、最近になり、ジャネットは性的妄想をするとき、しばしば、男性に口唇奉仕をし、射精を飲み下すことを想像するようになっていた。いや、もっと大胆なことも。どういうわけか、体が心を裏切ることがあるように思えた。そのようなことを想像するのは不適切と思われるような時に限って、肉体によって心がさまよい始め、ほんの少し前までは変態じみていると思っていた性的状況を想像していることがあった。そんな邪念など浮かべまいと試みてはみても、どうしても、淫らな性的状況が頭に浮かび、夢に現れ、知らぬ間に妄想していたりし、全身の感覚を刺激しているのだった。時には、日中に下着を履き替えなければならないこともあった。実際、ジャネットは病院に行こうかとすら考えた。自分はどこか変調をきたしているのではないかと思ったのである。
ジャネットの女の友達は、そんな彼女のことを笑い飛ばし、馬鹿なことを言わないでと言うのが常だった。そういうことを妄想したら、妄想の最後まで楽しめばいいのよ、とも言われた。そういう時、ジャネットは顔を赤らめながら、そんなこと言うなんて、頭がおかしいわよ、と切り返すのが常だった。ではあるものの、心の奥のどこかでは、友達の言うことも正しいと、人生は短いのだから、性的な本能を抑圧するのは良くないとも思っていた。
クリス・マーフィは20歳。大学のサウス・カレッジに2年間就学した後、当地のキャンパスに移ってきた生物医用工学専攻3年の学生だった。183センチと背が高く、体重84キロのすらりとした体格だった。ハンサムで、多少、恥ずかしがりのところがあるが、友人に恵まれた人気がある学生だった。謙虚な性格で、ほとんど誰とでも仲良くなれる。スポーツが好きで、たいていのスポーツが得意であったが、カリキュラムが立て込んでいて、スポーツを行う時間はなかった。
クリスは、工学系を選んだことは間違ったのではないかと思うことがたびたびあった。講義は、数学、物理学、生物学などなど、あまりに過重で、余暇を楽しむ時間がまったくない。友達がパーティを楽しんでいる間、一人黙々と勉強しなければならない。ではあるが、彼には目標があったし、自分からその目標を高く設定していた。多分、高すぎる目標だったのかもしれないが。
クリスは両親と同居していた。クリスの家族は、中の上クラスの収入がある一家で、都市郊外の善良な人々が多い地域に家があった。クリスの父であるトム・マーフィは、医者や病院に精密医療機器を売る仕事をしていた。それにより、一家は、特に贅沢な暮らしではないものの、経済的に潤った生活ができていた。
トムは、仕事をするという倫理を特に重視する人間だった。彼には、その経済力から、現代の子供たちが欲しがる物を買うのは簡単だったが、彼の主義に反する物を買い与えることは頑として断っている。特に、トムは息子のクリスは、大学に通っている間ですら、自分で何か仕事を行い、ある程度の収入を得るべきだと感じていた。
クリスにとっても、その父親の方針は問題ではなかった。家の収入にかかわらずクリスはバイトを行い、仕事をしてきた。夏の間は、ピザの店で働いたが、残念ながら、その収入では、クリスが作り直しているクラシック・カーの仕上げをするのに十分なお金にはならなかった。クリスの頑張り様は大したもので、父のトムですら、自分の稼ぎに匹敵するほどクリスが稼いでいるのではと認めるほどだった。だがクリスは、それだけ稼いでも、夏休みの2ヶ月ほどで希望の額を達成できるか、自信がなかった。
そのクリスがドクター・ジャネット・レドモンドに初めて出会ったのは、クリスの家で金曜の夜に開かれたパーティの席上だった。クリスが父親と話しているとき、ジャネットが歩み寄り、彼の父に挨拶をしたのである。トムは2人の紹介をした。
「クリス、こちらはレドモンド先生だよ。レドモンド先生、これが私の息子です。生物医用工学を専門とした学生です」
トムは自慢げにクリスの肩に腕を回して引き寄せた。
「あ・・・どうも・・・」
クリスは、ジャネットの美しい瞳を見つめながら、挨拶をした。こんな美しい瞳を見たことがないと彼は思った。
「はじめまして。お会いできて嬉しいですわ。・・・ジャネットです」 手を差し出しながら、ジャネットは名乗った。
クリスはジャネットの手を取って、握手をした。柔らかく温かい手。彼はセクシーな年上の女性の瞳を覗き込みながら、心臓がちょっと高鳴るのを感じた。
ふと香りに気づく。陶酔させるような甘い香りの香水が、彼をそよ風のように包んでいた。クリスは頭がくらくらしてくるのを感じた。5年生の時にジェニー・ジルマンに初めて出会ったときのようだった。期末試験の後のトラウマ時期によるちょっとしたストレスからこんな風になっているのかな、と彼は思った。
急に手を引っ張られるのを感じ、クリスはハッとあわてた。気がつくと、まだジャネットの手を握っていたのだった。
「あ、すみません」
そうつぶやいて、しぶしぶと手を離した。
「あなた? ちょっとこっちに来てくれない?」 クリスの母親が部屋の向こうから呼んだ。それを聞いたクリスの父がジャネットに言った。
「ちょっと失礼します。クリス? お父さんの替わりにレドモンド先生をもてなして差し上げなさい。先生は、お父さんの一番のお客さんだし、このアメリカで最高の眼科医なんだよ」
トムはそう言って妻のところへと急ぎ去った。後にはクリスとジャネットだけが残された。
「で、君はエンジニアなの?」
「いえ、厳密に言ったら、違います。まだ大学2年生になったばかりなんです」
「カリキュラムが大変な時期ね。それで? 夏休みは何をするつもり?」
「ええ、今はピザ屋で働いてるんですが、あまり時給が良くなくて。僕は、車の66年型シボレーを改造するため、お金を貯めてるんです」
クリスは、ドクター・レドモンドの柔らかく盛り上がった胸から視線を避けようと必死だった。彼女が体を動かすたびに、たわわに揺れている。しかし、そこから視線を外すのは健康な若者にとっては不可能なこととも言える。クリスは顔を上げ、ドクター・レドモンドの顔を見ると、彼女は、クリスがどこを見ていたか知っているようににっこりと微笑んだ。クリスは恥ずかしさに顔が赤らむのを感じた。
「分かるわ。学生時代はお金は大変よね」 ジャネットは同情しながら答えた。「貧乏学生ってこと? うふふ」 美しい笑顔のまま、少し笑い出しながら答える。そのため、彼女の胸はさらにたわわに揺れた。
「まあ、正確には貧乏と言うわけじゃないんだけど、車を改造するのに十分なお金を得るには、本当に何か他のバイトを探さなければいけないんです」 クリスは、沈み込みながら答えた。
「ねえ、ちょっと待って。君は、機械のことなら割と器用なんじゃない?」
「アハハ・・・ええ、まあ。何と言っても、工学の勉強をしているんですから」
「私のオフィスで手伝いをしてくれているアシスタントが、先週、背中を痛めてしまって、療養のため休暇をとったのよ。もし、君が興味があるなら、私のオフィスで少し手伝いをしてくれないかしら? 1時間10ドルを払うわ。それに私という素晴らしい人間と一緒の職場で働けることになるわよ。興味ある?」 ジャネットは笑いながら訊いた。
「わお! 是非とも!」
クリスは速攻で返事し、チャンスに飛びついた。今より少し給与が高いし、彼女と一緒のところで働けるというのも魅力だった。
「それじゃ、月曜日の朝9時ごろ私のオフィスに来てくれる? そこで詳しく話しましょう」 ジャネットは、クリスに名刺をさし出した。
「はい、分かりました。ありがとうございます、レドモンド先生」 クリスは再びジャネットの愛らしい瞳を覗き込み、心が溶けそうになるのを感じた。
「ジャネットと呼んで」
ジャネットは、再び愛らしい笑顔を見せ、クリスの元から去った。キュートな子だと彼女は思った。そして、背中に彼の視線を感じ、ちょっとゾクッと感じた。ヒップを振り過ぎていたかしら? きちんとした振る舞いをしなければ、と自分に言い聞かせたジャネットだったが、彼女の固く勃起した乳首は、心の中の興奮を隠していなかった。
香水の甘い香りを漂わせたまま、流れるように歩き去ったジャネットを見ながら、クリスは麻痺したように立ち尽くしていた。彼の視線は、炎に引き寄せられる蛾のように、ジャネットの下半身に引き寄せられていた。「いいなあ・・・」 かすかに左右に揺れる成熟した腰を見ながら、そう思った。「・・・しかもお医者さんだ・・・」 股間がひくひくと反応しているのを感じた。「お前、お願いだから落ち着いてくれ」 勃起したままパーティの場を歩き回るのは、みっともない。
その後も、クリスはジャネットからつかず離れず、いつも視線に入れていた。跡をつけていたというわけではないが、他のパーティ客と会話をする彼女の姿を、たえず視界に入れていたと言ってよい。洗練された軽やかさで、部屋から部屋へと渡り移り、人々とおしゃべりをし、エレガントに笑う。ジャネットは、何気なく振り返ったとき、何度か、クリスが自分を見ていることに気づいた。クリスは顔を赤らめたものの、ジャネットは平静に対処し、甘く微笑みかけて応じた。
ある時、ジャネットがクリスの元に歩み寄り、「パーティを楽しんでいる?」 と訊いた。クリスは、返事はしたものの、すっかり取り乱し、まずいところを見つかった子供のように、しどろもどろになってしまった。ジャネットは、そのクリスの様子に、楽しそうに笑った。あらわになっている胸元から、たわわに膨らんだ胸がドレスから飛び出そうになって揺れた。
少し時間が経ち、クリスは自分の車の写真を取りに、2階の自分の部屋に戻った時だった。両親の寝室の前を通りすぎた時、誰かが中にいるような気がした。両親とも、ついさっき1階で見かけたばかりである。クリスは立ち止まり、わずかに開いているドアの隙間から中を覗き込んだ。トイレがあるバスルームからドクター・レドモンドが出てくるのを見て驚く。1階のバスルームは他の人が使っていたのだろうと、クリスは思った。
クリスは、そのまま立ち去ろうとしたが、ふと、レドモンド先生が片足の靴を脱ぎ、脱いだ足をベッドの上に乗せるのを見て、立ち止まった。彼女がスカートの裾を滑らすように捲り、ストッキングの付け根をあらわにするのを見て、眼を大きくした。シルクの暗めの色のストッキング。そのゴム・バンドの先、つるつると滑らかな白肌が露出しているのを目にし、クリスは股間が反応するのを感じた。彼女はバンドを伸ばし、光沢のあるストッキングを引き上げ、しわを伸ばした。そして、その脚のストッキングの調節に満足すると、次に反対側の脚に変え、ベッドに乗せた。
いまやクリスの目には、彼女のスカートの中が先よりはっきり見えていた。青いシルクの下着まで見える。そちらの脚のストッキングを調節する姿を見ながら、クリスのペニスは跳ね起きるように最大に勃起していた。
突然、彼女が顔を上げ、クリスの方向に顔を向けた。クリスは、まるで銃で撃たれたかのように、ハッと引き下がって、身を隠した。そして慌てて階段へと向かった。覗き屋のように見ていたところを見つかってしまった恥ずかしさに、顔が真っ赤になっていた。
確かに、ジャネットはクリスの姿を見ていたのである。あのハンサムな若者が自分の姿を覗いていたのを知って、彼女は、クリスのことをキュートだと感じたし、おだてられた気持ちにもなっていた。
「落ち着くのよ、ジャネット! あの子は、大事なビジネス相手の息子さんなのよ」
そう自分に言い聞かせたジャネットだったが、ふと気づくと、下着が足の間を愛撫しているように感じたし、パンティの三角布が愛液で湿ってるのも感じていた。
もっとも、ジャネットは、あの若者を惑わすことを心から楽しみ、簡単にはやめられなくなっていたのである。このように気持ちが高ぶることがいつからなくなったか、思い出せなかった。アルコールを飲みすぎていなかったら、ジャネットは、クリスにモーションをかけることはせず、自分を守る姿勢に入っていたことだろう。それでも、若い男性を惹きつけ、自分の周りを子犬のようにハアハアとまとわりつかせることは、気持ちを若返らせ、自尊心を高ぶらせることではあった。たとえアルコールが入っているとはいえ、2人の間の状況は自分がコントロールできるとジャネットは思った。
次にジャネットがクリスを見かけたとき、クリスは屋外に出て、新鮮な空気にあたりながら立っていたところだった。ジャネットは彼に近づき、話しかけた。
「中は、ちょっと蒸し暑いわよね」
クリスはびっくりして、跳ねとび、手に持っていたコーラをこぼしそうになった。実際、少し跳ねたコーラが彼のシャツについていた。
「ごめんなさい。驚かすつもりはなかったのよ。うふふ」
ジャネットは笑いながら,ナプキンを手にクリスのシャツに付いたコーラを拭き取った。
「今夜は、屋外のこの場所がとても気持ち良いです」
クリスは、不器用にうろたえた恥ずかしさから立ち直った後、ジャネットに返事した。
「ええ、そうね。音楽もとてもいい感じだし」
パティオに設置されているスピーカーから流れてくる、落ち着いた音楽のことについて言った。
「あのスピーカーは僕が2年位前に設置したんですよ。母の誕生日があって、そのびっくりプレゼントとして。母は、ここに座って、陽が沈むのを見るのが好きなんです」 クリスは自慢げに説明した。
「そうなの・・・でも、せっかくの音楽を無駄にするのは良くないわ。そうね、一緒にダンスでもどう?」
ジャネットは衝動的に、この若者の腕に抱かれたいと感じた。今夜は誰かに求められたい。たとえ、相手が自分の息子と言ってもおかしくないような若者であっても。
「あ・・・でも、僕はあまりうまくないですが・・・」 クリスは、そうは言ってもジャネットが気持ちを変えないようにと願った。
「そんなことはいいのよ。私も、もう何年も踊っていないもの。多分、お互いに足を踏みあうんじゃないかしら」
ジャネットはそう言って、自分の手にしていた飲み物とクリスの飲み物を取り上げ、テーブルに置いた。それからクリスに両腕を開いて見せた。
クリスは足を踏み出し、ジャネットに近づいた。そのとたんに、彼女の甘い香りの香水に包まれるのを感じ、続いて彼女の両腕に包まれるのを感じた。音楽に合わせて、パティオを動き始める。クリスは、あまり強く体を押し付けないようにと細心の注意を払っていた。だが、引き下がっても、むしろ彼女の方が自分に近づき、体を押し付けてくるのを感じる。彼を包むジャネットの両腕に力が入り、胸板に彼女の柔らかな胸が押し付けられるのを感じた。ジャネットが頭を彼の肩に預けるのを感じたとき、クリスは自分が彼女にすっかり夢中になってしまったのを悟った。やがて、興奮してくるのを感じる。クリスはそれが知られるのを恐れた。だが、腰を引こうとすると、それに抗うように、ジャネットの太ももが脚の間に押し付けられるのだった。
このときも、ジャネットは、自分がこの若者に何をしているか、はっきりと自覚していた。この若者が勃起を始めている。その事実を知覚するチャンスを逃せない気持ちだった。このようなことはすべきではない。それは知っていたものの、脳がアルコールで麻痺しているため、このくらいは構わないと思うジャネットだった。ちょっとした、無害な焦らしに過ぎないわ。ジャネットは自分にそう言い聞かせ、両手をクリスの首に絡め、彼に体を密着させて、互いに揺れあった。
クリスはどうしてよいか分からなかった。もし体を離したら、勃起していることがばれてしまうのは確実だ。その一方で、ドクター・レドモンドは自分でしていることについてほとんど疑念を持っておらず、確信して行っているのかもしれない、とも思っていた。すでにすっかり勃起していた彼のペニスだが、彼女は腰骨を使って、わざとその勃起を擦っているように感じる。ジャネットはお酒に酔っているのだから、このような行為をしても許されるかもしれない。だが、自分の場合は、何か行動をした場合、何の言い訳も効かないだろう。とは言え、クリスは、活発なホルモンを備えた若者であるのも事実だった。
クリスの手が、さまようように背中を滑り降り、腰に落ち着いた。それを感じ、ジャネットは、堪えきれずに、小さく甘い溜息を漏らした。力強い体に抱き寄せられるのがとても気持ち良い。クリスの両手に力が入るのを感じた。腰を引き寄せられ、すでにはっきりとなっている硬い物に押し付けられる。ジャネットの体が溶け込むように彼に包まれた。2人の足はすでに動いていなかった。2人の腰と上半身だけが、音楽に合わせて揺れていた。
クリスも、ジャネットの手が首から後頭部へと上がり、髪をすくのを感じた。ゾクゾクとした電流が脊椎を上下に走るのを感じる。彼女の指に愛撫される。爪に優しく肌を引っかかれる。ジャネットの熟れて柔らかな体、そして甘い香りに、クリスは、これまでに想像したどんな甘く激しい夢よりも、興奮を高められていた。両手を腰から下へと滑らせ、柔らかい2つの尻肉を手にした。左右それぞれの手で、左右それぞれの肉丘を包み、優しく揉み始める。同時に強く彼女の体を引き寄せた。
「ああ、ここにいたのか!」
突然、パティオの開いたままのドアの向こうから大きな声がした。
クリスは、熱湯を浴びせかけられたかのように、さっとジャネットから離れた。すばやくテーブルのところに移動し、興奮している状態が父から見えないように隠れた。父の方向に背中を向けていたのは幸いだった。そうでなければ、ドクター・レドモンドのお尻に両手を添えていたところを、父に見られてしまったことだろう。
「レドモンド先生、ちょっと会っていただきたい人がいるんですよ。・・・クリス? ちょっと彼女を借りてもいいかな?」
「あ、ええ、もちろん・・・僕はちょっと・・・飲み物をもう1杯もらってこようかな」
クリスはテーブルから自分のコーラを取り上げた。クリスは両手を前にしたままでいた。ズボンの前にできているテントを隠そうとしてである。幸い、彼の父は気づかなかったようだ。家の中へ連れ戻そうと、ジャネットに手を差し伸べている。
ジャネットは、家の中へ向かいながら、クリスに振り向いた。目には興奮による輝きが浮かんでいた。
「ありがとう。ダンス楽しかったわ。いつか絶対、続きをしましょうね」
そう言って彼女は来客たちの群れの中に隠れてしまった。
クリスも家の中に戻り、階段へと向かった。当面のズボンの中の問題を何とか片付けなければ。そればかりを考えていた。だが、不運なことに、母親の友人数人に呼び止められ、話し相手をさせられる。
「最近どうしてるの?」
「ちゃんとやってる?」
「大学はどう?」など、など、質問にあう。
ようやく、その場から離れられたのは、それから30分以上経った後だった。やっと、ズボンの中のものを落ち着かせられるかもしれない。そう思ったものの、どうやらそうはならないようだった。というのも、部屋に戻り、服を脱ぎ捨てベッドに飛び込むとすぐに、部屋のドアをノックする音がしたからである。ドアが開き、父のトムが顔を見せた。幸い、クリスがシーツをかぶり、勃起を隠した直後だった。
「クリス、すまない。ちょっと頼みたいことがあるんだよ」 トムは部屋に入ってきて言った。
「あ・・・いいよ、お父さん。何?」 シーツを中から持ち上げ、勃起したペニスが分からないようにさせながらクリスは返事した。
「実は、レドモンド先生が、ちょっと飲みすぎてしまったようなんだ。先生が、あの状態で車を運転して帰るのは良くないと思ってね。それで、申し訳ないが、先生を車で送っていってくれないか? お父さんが送っていってもいいんだが、まだお客さんが3人ほど残っていてね。その人たちを残したまま、お父さんが家を出てしまったら、失礼だろう?」
「分かったよ、お父さん。着替えるからちょっと待ってて」 クリスは、むしろ喜んで、と言わんばかりに返事した。
「助かるよ。借りができたな」
「ああ、大きな借りだよ。僕の車の部品代くらいになる借りかな?」 クリスは冗談交じりに言った。
「いや、そんな大きな借りじゃないだろう? まあ、お前の学費の一部くらいの借りかも知れんが」
「分かった、分かったよ。お父さんの勝ちだ」
クリスは、あのセクシーな女性を家に送ることが、自分にとって面倒な仕事と言わんばかりの返事をし、明るい笑みを浮かべた。だが、たとえ荒馬でも、クリスに、レドモンドを家に送り届けるという仕事をやめさせることはできなかっただろう。実際、このチャンスのお礼として、自分こそ父に代償を払わなければ、とクリスは思った。
クリスは、一刻も早く階下に行きたかった。そこで、ジョギング・パンツとTシャツを着た。あまりに急いでいたので、ジョギング・パンツの下に下着を履くこともしなかった。階下に降りると、父親が玄関にいて、ドクター・レドモンドと話をしているのが見えた。
「だああいじょうぶですから・・・運転できますよお・・・」
「いいえ、いけません。私の一番大事なお客様を、交通事故で失ったり、飲酒運転で逮捕されたりして欲しくないのですよ」
そう言って、トムはジャネットから車の鍵を取り上げた。
「息子のクリスが先生を送って差し上げます」
「まあ・・・」
ジャネットは振り返ってクリスを見た。燃えるような瞳で彼を見る。
「クリス、ワゴンを使いなさい。先生の車は明日、送り届けよう」
クリスは急いでキッチンに行き、車の鍵を取り、すぐに戻ってじゃネットの横に付いた。片腕を彼女に巻きつけ、体を支えながら、玄関を出て、車へと向かった。
「気をつけるんだよ」 クリスの父は息子に囁いた。
「大丈夫だよ、お父さん。責任を持ってしっかり送ってくるから」
マーフィー家のファミリーカーは、あの大型のブイック社のビスタ・クルーザ・ワゴン(参考)だった。古い車だが、荷物を運ぶには素晴らしく、実に頼りがいのある車だ。クリスや彼の父が、どんなに新しい車に替えようと言おうとも、クリスの母親は決して耳を貸さないだろう。
クリスはジャネットの腰に腕を回して彼女の体を支え、連れ添いながら車へ向かった。ジャネットはクリスに体を預けるようにして歩いた。腰をぴったりと押し付け、上半身も彼の腕の中、しがみつくようにして歩いた。車のそばに寄ったクリスは、もがきながらも、何とか片腕でジャネットの体を支え、もう片手で車のドアを開けた。それからジャネットの向きを変えて、自分に対面させ、そのまま優しく助手席に腰を降ろさせた。
ジャネットは、腰を降ろすとすぐに、ずるりと体を滑らせ、大きなベンチ・シートに横たわってしまった。両脚とも、まだ、車の外。彼女自身はくすくす笑っている。
クリスは、ジャネットの足を車に乗せようと身を屈めた。ふと、ジャネットが脚を大きく広げているのに気づく。ミニのカクテル・ドレス(参考)の中が奥まではっきりと見えていた。薄青のパンティと、それが覆うぷっくりと盛り上がった恥丘。クリスは、必要以上に長く時間をかけて、ジャネットの脚を車に入れ、ドアを閉めた。急いで運転主席の側に回るクリス自身の性的な部分は、半立ちの状態になっていた。
レドモンドの家までは車で少なくとも45分はかかる。だが今回はもっと時間がかかるだろう。というのも、クリスは、こんなに夜遅くにジャネットを送っていくチャンスは、今回を置いて、この先ないだろうと思っていたから、ゆっくりと行きたかったのである。それに、車の運転も容易ではなかった。肩にドクター・レドモンドがもたれかかっており、彼女の香水で頭がくらくらしそうだった。
始めの15分ほど、ジャネットは、酔った調子であれこれ呟いていた。クリスは運転に集中していたので、ほとんど彼女の言葉を聞いていなかった。もっとも、もたれかかっている彼女の体が発する温かさは、はっきりと自覚していた。しばらくすると、車内が静かになっていることに気がついた。ドクターは気を失ってしまったか、眠りに落ちてしまったのだろう。
クリスは助手席に目を落として微笑んだ。彼女のドレスの裾が、下着が見えそうになるまで太ももをめくりあがっていた。両脚も大きく広がったままで、その度合いは、ドクター・レドモンドが生活している社会では容認可能な度合いを超えている。ドレスのトップに目をやると、豊満な胸の谷間が奥まではっきりと見えていた。助手席に何度も目を向けることなくとも、クリスは再び興奮し始めていた。彼自身は自制しなければと思っているのだが、ペニスの方は勝手に長さを増してくるのを感じていた。ジョギング・パンツの中、みるみる伸びているのを感じる。
いいか、運転に集中するんだ、と自分に言い聞かせ、興奮しまいと意志の力で自分を制しようとした。だが、そんな努力はほとんど役に立たない。何分もしないうちに、彼は完全に勃起してしまっていた。太もものところ、ショートパンツの中から押し上げていて、居心地の悪さを感じる。もう何センチか大きくなってしまったら、ショートパンツの裾から亀頭が顔を出してしまうだろう。
このようなことをすべきではないとは分かっていたものの、クリスはドクター・レドモンドのデザイナー・ドレスの裾に手を伸ばしていた。震える手で、ゆっくりとシルクの生地を引き上げ、下着があらわになるまでめくり上げた。そして、ドレスの裾をその位置にしたまま、手を戻し、ハンドルを握った。
手は戻したものの、視線は、目にしている光景からなかなか戻せなかった。運転席からの薄明かり、それに町の街灯を通り過ぎるたびにもたらされる明かりの中、彼女の太ももとその奥の下着に覆われた部分が目に入った。さらに、その下着の伸縮性がある生地の縫い目から何本か縮れた陰毛が出ているようにも思った。クリスは、ペニスがぴくぴくと痙攣し、透明なよだれを出し、太ももを濡らすのを感じた。
赤信号になり、クリスはブレーキを踏んだ。そのとたん、それまで彼の太ももに置かれていたジャネットの手が反動により浮き上がり、彼の脈動する肉茎の上にじかに降りるのを感じた。
いまやクリスは本当にジレンマに陥ってしまった。彼女の手を取って元に戻すべきなのか、それともそのままにしておくべきなのか? 彼の片方の肩には、あの純真で可愛い天使が座っていて、もう一方の肩には、あの悪魔が座っている。不幸なことに、20歳という年齢では、悪魔が勝利を収めることが多い。クリスは、彼女の手をそのままにしておいたのである。
車は、何度かカーブを曲がったり、信号での停車と発進を繰り返しながら先を進んだ。そのたびにジャネットの手はクリスの太ももの上を跳ねるように動き、さらにいっそう彼の興奮を高めた。やがて、彼女の手が、ショートパンツの上、ちょうど彼の亀頭を覆っている近くに来た。クリスは心臓を高鳴らせながらも、腰を、ほとんど分からないほどわずかに上げ、ジャネットの手が2センチほど移動し、亀頭を覆っている部分に滑り来るようにさせた。古い車なので振動が大きい。そのバイブレーションによりジャネットの手は小刻みに動いていた。それを受けて、クリスの勃起は、ショートパンツの中、文字通り痙攣し続けていた。
彼は、もはや興奮を自分でコントロールすることはできなくなっていた。手を降ろし、ジョギング・パンツの裾を引き上げ、ペニスの膨らんだ頭部を外に出し、ジャネットの手に触れさせたのである。プレカムで濡れ、熱くなった頭部を、彼女の柔らかく、ひんやりとした手の肌に触れられ、思わず、唇からうめき声が漏れた。自分のその器官が、切実に何かを求めるようにひくひくと脈動している。壊れた蛇口のように水漏れを起しているのも感じた。漏れたジュースが太ももを伝い、運転席のシートへと滴っている。
可愛い天使と邪悪な悪魔が再び現れた。悪魔がすべてのカードを手にしていた。
クリスは手を伸ばして、助手席で気を失っているジャネットの柔らかな手に重ねた。その手を握り、太ももから顔を出している膨らんだマッシュルーム状の頭部の上に乗せた。そして、非常にゆっくりとしたリズムで彼女の手を前後に動かし始めた。クリスにとっては、何度も繰り返してきたお馴染みの動きであるが、いま彼の分身を擦っているのは彼自身の手ではない。意識をなくしてはいるものの、成熟した女性の手なのだ。安全に家まで送り届けるよう責任を持たされた女性の手。だが、どんなに罪の意識を訴えようとも、今のクリスを押しとどめることはできなかっただろう。
クリスの手はジャネットの手をしっかりと握ったまま、プレカムでぬるぬるになっているペニスの肌をゆっくりと前後に動き続けた。そのスピードは徐々に速まり、やがて安定したリズムに変わった。
突然、クリスは脚が震え、睾丸が緊張するのを感じた。延べ何十時間も実践をしてきたクリスにとって、次に何が起きるかは自明だった。だが、彼にはそれを留める力はなかった。唇から喘ぎ声が漏れ、同時に膨らんだ亀頭が顔を歪め、大きく開いた隙間から熱い白濁を吐き出し始めたのである。
クリスは、必死になりながらも、車を道端に寄せた。肉竿は勝手にヒクヒクと痙攣を続け、太ももに体液を撒き散らし、その液が脚を伝って足首にまで流れていた。年若のクリスだったが、彼の人生の中で最も強烈なクライマックスのひとつだったことは間違いない。
ほとんど、始めたと同時に終わってしまった。次の瞬間、罪悪感が心に忍び込んできた。萎み始めたペニスをズボンの中にしまいながら、クリスは思った。
・・・僕は何ということをしてしまったのだろう・・・
今や、彼の片方の肩に乗っている天使の方が元気になっている。天使は、羞恥に戸惑う若者に罪悪感をせっせと積み上げ始めているところだった。
ジャネットの家の前に着いた。ジャネットがすっかり酔いつぶれたままであるのを見たクリスは、彼女の体を抱き上げ、家の中へ運んだ。両腕で抱きかかえたまま、階段を上がり、彼女に助けを求めずに、寝室を探した。ドアを開けて中を確かめていく。2つ目のドアを開けると、そこは一番大きな寝室のように思われた。クリスはその部屋に入り、彼女の体をベッドに降ろした。ベッドに降ろすとすぐに、ジャネットは仰向けに横たわった。クリスはそのまま出て行こうとしたが、一度、立ち止まり振り返った。
・・・どう考えても、こんな格好のまま置いていくわけには行かないなあ・・・
クリスはベッドに戻り、彼女の足元にひざまずいた。
・・・少なくとも、靴だけは脱がせて、ちゃんとベッドに寝せてあげるべきだ・・・
ジャネットの靴を脱がせる時、当然、彼女の脚を広げさせる形になった。クリスは、顔を上げ、下着に覆われた股間を目にした。彼女のその部分を見るのは、今夜3回目になる。車の中では気づかなかったが、彼女のシルクの下着の中心部分に大きな湿った部分ができているのを見て、クリスは驚いた。同時に、シルクの下着を着けた女性の姿がとても美しく感じられたクリスだった。
ジャネットの足元にひざまずいている間、クリスは、彼女の香水の香りに気づいていたが、それに加えて別の香りも鼻腔を刺激しているのに気づいた。香水より、もっと生物にふさわしい匂い。大学での女子学生の友達との付き合いで覚えがある香りだった。女性が発する甘く、むっとした感じの香り。クリスは、彼女の太ももの間に頭を入れたくなる衝動を押さえ込むのに必死だった。
突然、ジャネットがうめき声を上げ、寝返りを打った。両脚を動かし、スカートが腰に捲れあがるまで脚を開いた。片足は膝を曲げて立たせ、もう片足はまっすぐ伸ばしたままである。濡れた薄地の下着の股間部分を通して、クリスには彼女の陰唇の輪郭がはっきりと見えていた。
クリスは、今すぐ、ここを立ち去らなければならないと思った。さもないと、大変なトラブルとなりかねない行動を取ってしまいそうだ。素早く立ち上がり、ジャネットの足をベッドに乗せ、慌てるようにして寝室から出た。文字通り駆けるようにして階段を降り、車へと向かった。
この時ばかりは、天使の方が小さな勝利を収めたわけである。