「デス・バイ・ファッキング」 第2章 Death By Fucking Ch. 02 by thebullet source 第1章

「最近」という言葉で3年間を意味するとしても構わないならばの話しだけど、私の生活は、最近、少しありきたりになっていた。移動し、仕事をし、食べて、そして寝る。これらが、私の生活を構成している4つの基本的構成要素だ。この4つ以外にもあってしかるべきだとは分かっていても、言わば、自分で整えたベッドなら、自分がそこに寝るべきなのだ。つまり、こういう生活を送ってるのも、自己責任ということ。

私の名前はディアドラ・マーティン。経営コンサルタントをしている。様々な会社に派遣され、その会社をより効率的で、利益が上がるようにするにはどうしたらよいかを決定する仕事をしている。このような仕事の性格上、私は、クライアントに、業務を改善するために、様々な機能を整理統合する方法を教えなければならないことが時々ある(実際は、「時々」どころじゃないけれど)。でも、これは婉曲的な言い方であって、はっきり言えば、誰を解雇するかを指示するということだ。この点は、私の仕事の楽しくないところであるし、私が派遣された会社の人々に、あまり友好的に付き合ってもらえない理由でもある。しかし、その人々も、私が業務を終えた時点でリストラされる対象になるかもしれない人たちであるわけだから、彼らを責めることなどできないだろう。

コンサルタントの業界では、コンサルタントの社員こそが商品である。在庫品である。これは、悪い意味で言っている。コンサルタント会社が、その社員を完全に取引先での業務に就かせたら、もはや売るものは何もなくなるのだ。そういう業界で、コンサルタント会社がビジネスを広げるには2つの方法がある。(A)より多くのコンサルタントを雇うこと(しかしコストは膨れる)。それか、(B)既存のコンサルタントに、より長時間、働かせること。私の知っているどのコンサルタント会社も、まず(B)の方法を選ぶ。

私は不平を言っているわけではない。こういう流れなのだとは分かっていたから。仕事に長時間費やし、味気ないモーテルの部屋で退屈な時を過ごしながら休息を取る。そういうことしか予想できないのは分かっていた。先にあるのは孤独だけというのも分かっていたし、男性と付き合う時間もないだろうとは分かっていた。実際、過去に何度か男女関係で失敗してきていたので、もはや、この関係のことに対処しなくても済むと知って、少し喜んだりもしていたのだ。

私はジョージア州で育った。サバンナ(参考)の近くで育ったので、人に聞かれたときには、サバンナの出身ですと答えることにしていた。だが、実際に私が育った町は、アーバン・スプロール(参考)が始まるまでは「郊外」とすら言えないような小さな町だった。私がそこに住んでいた時は、私にとって、サバンナは月に一度遊びに行く大都会だった。だから、私はサバンナ出身と言うことにしている。

アクロン・ワイヤー・アンド・ケーブル(AWC)社は、私たちのようなコンサルタントによる救済を必要としている小企業だった。よくあるクライアントである。我がBRMC社は、この古臭い小企業を21世紀に相応しい企業へ変える仕事を受け持ったのである。これは、大変な仕事になりそうだった。たくさん首が飛ぶだろう。それは間違いない。BRMCからは私も含めて何人かコンサルタントが派遣され、かなりの時間と労力を費やして、この小企業に生き延びる方法を教え込むことになっていた。私の個人的な印象では、現状を見るに、この会社が生き残れるかどうか確信がもてなかった。だが、ともかくやってみなければならなかった。

AWC側で私と主に接触するのは、あるシステム・アナリストで、AWCで最も若い部長と聞いていた。彼は有望な若手で、AWCの問題点を知るためばかりでなく、AWC内でも進歩的な考え方の持ち主たちが将来構想としてどのようなことを考えているかを知るにも理想的な人物であると聞いていた。このアンドリュー・アドキンズと、私は電話で打ち合わせをし、電話での会議やEメールやファックスのやり取りを続けた。すべて、アクロンにおけるAWC社に私が滞在する時に備えての打ち合わせであった。

アクロンに赴き、管理制御部の会議室に座っていたとき、彼が入ってきた。彼は、約束の時間に少し遅れて着たので、何か交通のことについて、ぶつぶつ言っていたが、私は、そのことには全然注意を払っていなかった。そもそも、彼の言葉が聞こえていなかったように思える。どうしてか・・・それは、それほど素敵な男性だったから。

彼は若くて背が高かった。とは言え、背が高すぎというわけでもない。多分、178から180センチくらい。すらりと引き締まった体格。きわめて健康的な体つきをしていると思った。後で知ったことだが、彼は大学でテニス部に属していて、現在でも現役と張り合えるほどプレーできるらしい。顔は、柔和であると同時に厳しい印象があった。ただ、彼の顔を見ただけで、何度も笑顔になってきたことによって形成された顔だと分かるはず。愛嬌がある顔とも言えた。

こげ茶色の瞳。見るものを射抜くような鋭い視線をしていた。私は、彼に会って、微笑んだが、その後、あの瞳に視線を移したときのことを忘れられない。いきなり私の魂に突き刺してくるような印象があった。

手を差し伸べ、挨拶の握手をした。彼の手に触れたとき、何か電気ショックのようなものを感じた。体じゅうがビリビリと感じたのだった。私は立っていられなくなって、椅子に腰を降ろそうとしたけれど、彼はなかなか私の手を離したくなさそうだった。実際、私も手を引っ込められなかったのだから。でも、やがて、私は膝から力が抜けてしまい、椅子にへたり込んだ。それに合わせて手を彼の手から離すことができた。ちゃんとしなければいけない、と思った。

そして、その時、私はあれを見たのだった。「雄々しい反応」。

この言葉は、高校にいた時、私たち女子高生たちの間で、男の子や教師のズボンが突然テントを張った時に使った言葉で、彼らがそういう反応をしたとき、「雄々しい反応」をしたと言っていた。

このアンドリューが私に対して雄々しい反応を見せたのだ! 私は、まったく理解できなかった。何と言っても、私は彼よりずっと年上である。正直言って、10歳年上なのである。私は、ひょっとして、この人は、何か若いロサリオ(参考)のような人物で、接した女性なら、年齢や容姿に関係なく、どんな女性にでも惹かれてしまう人なのではないかと思った。この人なら、間違いなく、ダンスへのお誘いの招待状をいっぱい持っているだろうと思った。このルックスだし、振る舞いもこの通りだし、こんな雄々しい反応もできるのだから。女性なら、ぞっこんになるはずと。

彼の見せた雄々しい反応も、私のせいのはずがないと思った。いや、彼はどの女性に対しても、こういう反応をするのだろうと思った。絶対そうよ。

私は少し落ち着き、すぐに仕事に取り掛かった。何と言っても、仕事のためにここに来ているのだから。私は、この若い素敵な男性について、馬鹿げた妄想をするためにここに来たのではないのだから。

私と彼は終日働き続け、かなり仕事がはかどった。だが、それでも、この言い知れぬ緊張感があった。どの局面でも、それを感じた。アンドリューは緊張していた。イライラしているように見えた。それまで電話で何度も話し合ってきたのに。彼は、電話では、いつも、温かみがあって優しく、時には私をおだてたりもしてくれていて、決して緊張したり、イライラしたりすることはなかったのに。私は、アンドリューは何か個人的な問題を抱えていて、そのために集中力がそがれているのではないかと考えた。

私は、他の多くの女性たちに比べると、男性の勃起状態について、あまりコメントできる資格がない。男性との経験がどちらかと言うと少なかったから。私にとっては、これまでずっと、仕事がナンバー・ワンの優先事項だったのだから。それでも、これまで何人か男性が私といて短い時間だけ勃起しているのを見たことはある。・・・でも、「短すぎて私の好みには足りない」(言ってる意味が分かるかしら? 私は『Whose Line is it Anyway』(参考)というテレビ番組のファンなの)

だが、アンドリューの場合は、朝の9時から、夕方の5時までずっと勃起したままなのだった。どうして、そんなことを知っているかと言うと、チェックしていたから。しかも、頻繁に。私は、ひょっとして彼はズボンの中に何か特別なものを履いているのじゃないかと思い始めた。でも、その日の朝には、彼の下のところがそうなっているのには気づかなかった。彼の真ん中のところが突き出てるのを見たのは、私たちの手が触れ合った後になってからだったはず。あの時初めて彼は固くなり、その後、ずっとその状態のままだったのだ。私は、どうやって仕事に取りかかれたのか、自分でも分からない。頭の中はアンドリューの勃起のことだけになっていたから。

火曜日、私はすこし早めに出社し、女性社員用の部屋に行って着替えをした。それからメインのオフィスへ出てくると、アンドリューが私に背を向けて、テーブルに座っているのが見えた。数名の同僚たちとおしゃべりをしている。どうやら、社員同士の親睦を図るための、仕事前の談話を行っているようだった。

そのグループに私が近づくと、とても可愛くて若い女の子が、別の方向から、そのグループへ歩いていくのが見えた。彼女はアンドリューの隣に座り、胸のところを彼の腕に押し付ける格好になった。にっこり微笑み、体を触れさせている。これは、若い女の子が、有望そうな男性から反応を引き出そうとする時に、よく見せる行為である。アンドリューは、この若いメス猫の悪巧みに気づいていないようだったけど、私には彼女が何を考えているか分かっていた。私は、自分の感情に嫉妬心が忍び込んでくるのに気づき、我ながらショックを感じていた。

私も、そのグループに近づき、おはようと声をかけた。アンドリューは、視線を、体を持たれかけている綺麗な女の子から、私に向けた。彼は私の目を見て、そして、その後は、全然、視線を泳がせることはなかった。じっと私を見ている。

グループに近づきながら、私はちらりと彼の股間を見たのだけど、その時は、何もなかった。多分、月曜日のあの状態は何かの間違いだったのだろうと思った。でも、彼が私を見た瞬間、そして私に微笑みかけた瞬間、彼のズボンの前が、私に向かって突然、膨らんだのだった。

私はめまいを起こしそうになった。なんてこと! 彼、私を求めている! 私を見て勃起している! 私は、あわてて、ちょっとごめんなさいと言って、会議室から飛び出した。何としても落ち着かなければ。でも、アンドリューは私のすぐ後に部屋を出てきて、私を追いかけてきた。落ち着くチャンスがない。落ち着くことなどできない。彼の目を見るのが辛い。

その日、ずっと一緒に仕事をした。彼は、その間、ずっと固くなったままだった。彼は、居心地が悪そうにしていたけれど、でも、ずっと、完全に紳士的に振舞っていた。私は、彼の視線に体を焼かれ、貫かれているような気持ちだった。でも、彼は、何らかの点で性的とみなせるような発言もほのめかしも一切行わなかった。私はびちゃびちゃだったのに。

長年、私に言い寄った男たちはたくさんいた。皆、私の下着の中に入り込もうとした。時々、その試みに成功した男たちもいた。でも、このアンドリューは私に言い寄ることは決してなかった。いつも、礼儀正しく、敬意を持って私に接している。だが、その一方で、彼の肉体は、私が一緒にいるといつも、全身で「君とやりたい」と訴え続けている。

これには気持ちを乱された。彼は私のカラダを欲しがっている! 私は、もう3年も、セックスしていない女なのよ。これまでの人生、親密な関係になった男性は一人もいない。高校時代ですら、ステディーな相手はいなかった。そんな私なのに、ここにいる端整なルックスをした知的で優しく、そして何より情熱的な年下の男性が、私とセックスしたがっている。あまりに悩ましく、当惑させることのため、じっくり考えることすらできない。そして、程なくして、私はこのことを悟ったのだった。つまり、私自身も、彼に私のカラダを奪って欲しいとおもっていること。これまでの人生で、これほど切望したことは他になかった。彼に犯されたい。

私は、神経過敏の塊になっていた。ほとんど仕事に集中できない。月曜日の夜、私は、性的欲求を「個人的に解消する」方法を行った。だが、それは私の興奮状態を鎮める効果はほとんどなかった。火曜日の夜も、もう一度、試した。何か、他のことをしなければだめだと思った。体が、火がついたように燃え盛っている。

水曜日の朝になっても、ダメな状態は変わらず、むしろ一層、ひどくなっていた。私は少し遅れて職場に着いた。アンドリューは、会議室にいて、私が来るのを待っていた。この日も、握手するため手を差し出した。これは、一日ふつか一緒に仕事をした後は、差し控えるのが普通のビジネス上の形式的な挨拶なのだが、私はどうしても、もう一度、彼の手に触れたかったのである。アンドリューは立ち上がり、私の手を握った。この時も、彼の手は炎のように感じられた。それに、また彼が「雄々しい反応」を示すのも見た。まるで銃を撃たれたかのように、ビックリして跳ね上がっている。

この若い男は私のことを悩殺的と思ってくれているらしい。でも、どうしてそんなことがありえるのだろう? 彼なら、絶対に、この会社にいるどんな女の子でも自由に選べるはずなのに。会社全体の中で、最も若い幹部。頭が切れて、セクシーで、端整な顔立ち。ここにいるどの女の子も、彼に選ばれることを夢見ているに違いない。なのに、どうして私を選ぶのだろう? 私にはまったく理解できなかった。

水曜日になる頃には、私は、もしかすると私たちは何も仕事を成し遂げられないのではないかと悩み始めていた。アンドリューは私にモーションをかけるつもりはないのではないか。そもそも、私はこのプロジェクトを担当すべきではないのではないか、と。

私は、ボブ・サイモンと一緒に昼食を取った。同じBRMCから派遣された別のコンサルタントである。

私は、ボブに、仕事のパートナーを交換する可能性を提案した。でも彼はあまり私の意見を聞いてくれなかった。アンドリューと私が、ある種の「相性上の問題」を経験していると伝えたのだが、彼は、私たち自身で解決案を探ったらよいとの反応だった。もし、どんな解決案もだめだった場合、仕方なく、パートナー交換に応じると。ともかく、私とアンドリューの二人で問題解決ができなくてはいけないはずと感じているようだった。

もちろんボブの言うことは正論だと私にも分かっていた。だけど、アンドリューと二人でこの問題を解決する方法として何があるだろう? 私にはたった一つしか考え付かなかった。

でも、その解決方法は、正確に言って、仕事上の解決方法ではない。そうよね? それに、この方法を取るということは、クライアントとは個人的な関係になってはならないという私のこれまでの原則に反することになる。その原則にしがみつくことが、プロジェクトの助けになるどころか、その阻害になるということを意味する。でも、仕方ないのじゃ? こうでもしなければ、あなた、他にどうやってアンドリューを誘う勇気を搾り出せる? 彼、あなたに言い寄るつもりがまったくなさそうだし。そうでしょう? 私はそう何度も自分に言い聞かせた。

ランチの後、私はアンドリューに二人っきりで会ってくれるよう頼んだ。邪魔が入るのを防ぐため、会議室のドアに鍵をかけることまでした。どうしても、アンドリューの口から、彼が私に惹かれていると言って欲しかった。でも、もし、私が彼のことを読み間違えしていたら、多分、私は死んでしまうだろう。

「アンドリュー、話しがあるの」

私は、多少フランクな態度で彼に接し、話した。彼が私がそばにいると居心地が悪そうに見えること。私とは別のBRMCのコンサルタントと一緒に仕事をしたいと思っているのではないか。それが望みなら、そうなるような手配も用意してあること、などなど。

アンドリューは、パートナーの交換は決して望んでいないと言った。良かった。でも彼は依然として、私にオープンになろうとしなかった。そこで私はしつこく食い下がった。彼とこれまで仲良く仕事をしてきたことを持ち出し、友情に訴えた。どうして一緒に仕事をするのが、これほど難しいのか、その問題となっていることを是非とも知りたいと。(私自身が抱えている問題のことは、もちろん知っていたけど、まずは、彼の問題の方を聞いておきたかった。) 

アンドリューは、これから自分が言うことを利用して彼を糾弾したりしないよう私に約束させた。どうやら、彼は私がセクハラ関係の訴訟を持ち出すのではと心配しているようだった。それを聞いて、私はただ微笑むだけだった。私自身、私の気持ちを知ったら、彼は私をセクハラで訴えるのではと、彼と同じようなことを心配していたからである。

その後、彼は心を開いてくれた。二人の間で、どちらかが本当の気持ちを言葉に出したのは、この時が初めてだった。彼の話し方は、それはもう、本当に情熱的! まるで詩を聞いてるようだった。

彼は理論を持っていた。化学とか何かのせいにしていた。この理論によると、私たち二人はまったく無実であり、不適切な感情を職場に持ち込んだなどという罪はないことになる。というのも、すべて、私たちの制御が及ばないところに起因していることだから。私も彼も、生物としての身体反応の犠牲者なのであると。それは制御不可能だし、このような場合、私たちは、自分自身の行動に対して責任はないのだと。私は、彼の理論がとても気に入った。

アンドリューは、私が彼のことを怖がっていると心配していた。彼のことをストーカーになる可能性のある男と思っていると考えたようだった。彼は、プロジェクトのためにも、明らかな問題があっても、それを無視し、元通りの何もない状態に戻って仕事を続ければ大丈夫なのではないかと言っていた。私は、心の中で、「そうは思えないわ」と答えていた。

私は年齢差のことを持ち出した。でもアンドリューは、その件については準備をしていたようだった。彼が年齢のことを問題と思っていないのなら、どうして私が問題にすべきだろうか。もちろん私にも問題ではない。ただ、彼の相手になる可能性がある、私より若く可愛らしい女性たちに対して多少、劣等感を感じる点はあるけれど。

でも、私は偏執狂になってしまったのかしら? 私なんかに惚れ込むことで、彼にとってどんな利益があるのだろうと、しつこく疑ってしまったのだ。そんなことを悩むべきことなのかどうか。でも、ともかく私は率直に彼に訊いた。社内のリストラ作業で、私を利用して良いポジションに着くために、私におべっかを使っているのかと。

彼の目に浮かんだ表情から、私がそういうことをほのめかしただけでも彼が傷ついたことが見て取れた。でも、アンドリューは、私の心がどれだけ不安定になってきていたか理解していないのだ。私は、長年、自立した女としてやってきた。自立すると決めたのは私自身。その選択を後悔するのは、毎晩、ホテルの部屋で独りでいるときだけ。でも、この若者に私の身をゆだねることができるのだろうか? もし、そうなったら彼は私をどう扱うだろう? 私はとても寂しい女なのよ。簡単に落とせる女なのよ。

その時、思ったのだが、もし私がそんな簡単に落ちる女だとしたら、どうして、この3年間、全然、男性と付き合いがなかったのだろうという疑問だった。コンサルタントをしているので、時々、過剰に分析を求めてしまうことがある。でも、もし彼を私の人生に入らせたら、私が彼の言うなりになるのは確実だと思った。だとしたら、かなり深い信頼関係がなくてはならない。

アンドリューは、私が求めるから、オープンに心を打ち明けたのだと言った。もちろん、それは分かっていた。でも、私はどうしても不安になってしまうのだった。彼に、職業柄、顧客と関係を持つことはできないと伝えた。彼と一緒になることについて、考え付く限りの障害物を指摘した。そして彼はそのすべてを検討した。

そして、彼は、階級差とビジネスの倫理について演説を始め、私がずば抜けて洗練された人間であるのだから、彼のような取るに足らぬ人間に興味を持つはずがないと語った。私は自分の耳を疑った! アンドリューが、私が彼に興味を持つことなどありえないと思っていたとは! 私が出会ったうちで、最高にハンサムで、セクシーで、うっとりしてしまいそうな男性が、こともあろうに、私のことを、彼自身に対してもったいない存在だと考えていたなんて!!!

その時、私は、できるだけ早く彼と一緒にならなければならないと思った。どうしても、そうしなければならないと。私はビジネス界で生きる女だ。自分の感情を扱うのが得意でない。得意なのは、様々なアイデアを論理的に展開すること。でも、そんな私だからこそ、ビジネス上の解決案を出すことには慣れている。実際、その解決案とは、彼と寝るための口実だけれど、どこかビジネス上の解決法のように聞こえる。

私は、彼の「雄々しい反応」を鎮めるために何かしなければならないと、思い切って彼に言った。ビジネスでざっくばらんに協力し仕事をしている人間が、仕事のテーブルについて、一方が常時興奮している状態について話し合い、その状態にどう取り組んだら良いかを検討しあうことは、普通はありえない。

アンドリューが、私の提案を聞いてショックを受けているのが分かった。でも同時に、その提案を痛々しいほど受け入れたがっているのも分かった。

もっと話しをすべきだったのは分かっていた。まるで私はプロジェクトの遂行にしか興味を持っていなくて、それを成し遂げるためならどんなことでも喜んでするような言い方だったのも知っていた。

ともかく、アンドリューに、私を抱いてもらいたいと伝えた。私は彼と違って雄弁ではない。彼は、私のことを褒めちぎり、私に身も心も奪われていると詩的に語って、私の心を舞い上がらせてくれた。そんな風に私に話す男性は、これまで一人もいなかった。

そして、とうとう彼はイエスと言ってくれた。こんなにワクワクしたことはなかった。夕方まで待たなければならない。私は何とかその時まで待つことができた。これまで何年も何年も待ち続けてきたのだ。あと2、3時間くらい何だと言うの? でも、永遠に続くような時間だった。いつまでも日が暮れないのではないかと思った。

私はいつもそうなのだが、この時はこれまでになくおどおどしていた。でもこの時は今までとは違う理由でおどおどしていたと思う。私は、充分、良いと感じてもらえるだろうか? 彼は、あんなにたくさん他に綺麗な女の人たちがいて、彼女たちとしようと思えばできるはずなのに、どうして私なんかと一緒になりたいと思うのだろう? そういう悩みを心から追い出さなければならなかった。彼は私に言ってくれたのだ。これは2人の身体の化学的構成によって引き起こされた化学反応なのだと。ええ、そうよ。その通りなのよ。私が彼に惹かれたのは、彼が美しくて、賢くて、機知に富み、思慮深くて、そして重工業的強靭さを持つペニスの持ち主だから(少なくとも私にはそう見えた)。これは私の側での化学反応。でも、彼の方は私の中のどこを見ているのだろう? 私は悩みすぎて神経がずたずたになる感じだった。

仕事が終わり、急いでホテルに戻った。夜に備えて並々ならぬ時間を使った。この疲れた顔の35歳のおばさんを、素敵な25歳の男の目に少しでも魅力的に映るようにと、できる限りのことをした。誰か他の人に私のことを欲しいと思ってもらいたいと思ったことは一度もなかった。私は、自立したビジネス・ウーマンで、自分のことは自分で管理できる人間なのだ。ああ、でも、彼には私のことを欲しいと思って欲しい。

私のホテルのロビーで、アンドリューと会った。颯爽としていた。私は、内心、彼をひっ捕まえてホテルの部屋に引きずりこみたいと思っていたものの、自分に冷静になるのよと言い聞かせた。落ち着いて一緒に外に出てディナーを楽しむの、それまで待つのよ、と。

2人で歩いて、小さいけれど素敵な日本料理のレストランに入った。食事はとても美味しかったし、アンドリューとおしゃべりをして互いのことについて多少情報を交換することができた。とても楽しかったけれども、食事が終わる頃には、私の忍耐力も限界に近づいてた。

アンドリューは私の心を読んでいたに違いない。彼は、ウェイターが勘定書きを持ってくるとすぐに支払いを済ませ、私の手を握って、急ぐようにしてレストランから出たのだ。すぐにホテルに向かったけれど、二人ともとても急ぎ足になっていて、どちらがどちらを引っ張っていたのか、私にはよく分からない。

ホテルに着き、すぐに私の部屋に入った。ドアを閉じると、たちまちアンドリューは私に覆いかぶさるように抱きついてきた。私の体を壁に押し付け、キスをしてくる。彼とする初めてのキスだったが、私の人生の中で最も情熱的なキスでもあった。

彼は私に夢中になってる! 私のことを奪いたがっている! 彼の手が私の体じゅうを這い回るのを感じた。破らんばかりにして私の服を脱がしていく。自分で服を脱ぐよりも、速く脱がされていく。彼の手は、わがままで、強引に私を彼自身の意思に従わせようとしている。

ベッドに連れて行かれた。私は、仰向けに倒れこんだ。欲情のせいか何か分からなかったが頭が朦朧としていた。いや、多分、これが恋愛感情かもしれない。

私は、あのベッドの中心に全身を委ねたまま、愛しい人が、乱れるのも気にせず、引き千切るようにして服を脱ぎ捨てるのを見ていた。彼の肉体に視線を向けるチャンスはほとんどなかった。裸になるとすぐに私の上にのしかかり、攻撃してきたから。前戯もなければ、優しい愛撫も、ゆっくりとしたムードの盛り上げもなかった。でも、まあ、実際この3日間、2人とも前戯をし続けていたと言えなくもない。私自身、部屋にたどり着くずっと前から、興奮していたし、濡れてもいたのだから。

彼の男性自身が、なおざりにされ続けた私の陰唇に触れ、押し開けようとするのを感じた。私のあそこに乱暴に突き刺してくる。彼の行為は、愛の行為ではなかった。略奪する行為。激しく私の体を奪う行為。いきなり私の中に入ったかと思うと、その後すぐに、全身を叩きつけるような出し入れを始めた。

抵抗しようとした。激しすぎる。急すぎる。

「イヤ! ちょっと待って! 痛いのよ!」

彼に落ち着いてもらおうとしたが、彼は容赦なかった。でも、これほどまで激しく私のことを求めた人は誰もいなかった。まるで、私のことを自分の物だと、私のすべてを所有しようとしている感じだった。私は抵抗する力が弱くなっていくのを感じた。

「ああ、ダメ! やめて! ああ、ひどい! ああ! ああ!!!・・・」

ストロークの数が10回にもならないうちに、私は快楽に狂った状態になっていたと思う。

年下の男の子だとばかり思っていたのに、この男は、私に出し入れを続け、決して私に主導権を譲らず、私を、なされるままにさせ続けた。そして、私は達していた。人生の中で、こんなに激しく達したことはなかった。だが、私がいった後でも、彼は私を犯し続けた。むしろ、前に比べてストロークの力が増してきている。私は、またもクライマックスに達してた。でも、私が達しようが、そうでなかろうが、彼には関係がないようだった。ますます、ストロークが激しくなってきている。どちらかと言えば、乱暴とすら言えるストローク。

叫び声を上げていた。達するたびに、叫んでいた。何回、叫び声を上げたか、分からない。並みの回数ではなかったのは確か。

過去、男性と寝た機会があったとき、私は、私の中に男性が入っている感覚をじっくり味わうのが普通だった。その人の大きさを、私が経験した他の男性の持ち物の大きさと比較するとか。だが、アンドリューは、私にそれを味わうチャンスを一切くれなかった。ただ、過去に私を抱いたどの男も、アンドリューの大きさと比較すると、味気ないものになるのだけは分かった。アンドリューのはかなり大きいに違いない。隅々まで私の中を満たして、狂ったように私を犯している。私は、強力なクレッシェンドで快楽の高みに引き上げられていた。彼のペニスは、私の中で大きく膨らんでいるように思われた。そして、とうとうついに、今度こそ、彼がクライマックスに達するに違いないと思った時が来た。そして、その時がくる。

彼の熱い体液が、子宮口に当たり、はじける感覚。驚きに満ちた感覚。私にとっても、それが受け耐えることができる限界だった。ありったけの呼気を吐き出して、体の奥から大きな悲鳴を上げていた。身体が勝手に、キューッと縮こまり、次にググッとえび反り、それからまた縮こまった。私のあそこがアンドリューのペニスを握り締め、ひくひく何度も痙攣を起こしているのを感じた。明るい光が無数に現れた。光がちりばめられているトンネルの中を見ている感じだった。

そして、手足から力がなくなる。頭の中も空っぽになっていく。まったく思考を失う。何か永遠なるもの、それと自分自身の脈打つ心臓。それしか感じられなくなる。

いま思うと、死に近づくときとは、まさにこのような感覚なのではないか。私は、死にかかっていたのだ。自分の死亡記事すら見えたように思った。私の名前があって、下に死因として、セックスによる死、デス・バイ・ファッキングとある。

人間の精神は、このような激しい情熱に耐えることができるのだろうか?

誰かが話している声が聞こえた。まるで深い井戸の底から聞こえてくるよう。私に話しかけているのは分かるけれど、言葉が頭の中に入ってこない。

ようやく、それはアンドリューの声だと分かった。彼は、多分、愛し方が気に入らなかったのではないかと心配していたのだと思う。彼は私をレイプしてしまったと思い込んでるようだった。

確かに。ほとんど、レイプといえた。でも、どの女も、レイプまがいのことは大好きなのよ。いつも、というわけではないかもしれないけど、ときどきは、そう。女は、一旦この人とセックスをすると決めたら、その人に身体を奪ってもらうのは、まさに当たり前のことのように感じられると思う。何もかも、自分の責任外のことになり、ただ、ひたすら犯されるだけの存在になる。いつも責任を取る必要性に駆られている私のような仕事を持った女性にとって、そういうふうに責任から解放されるのは、むしろ興奮の素になる。自由になる感覚。

この夜の経験は、私の人生で最高の性体験だと言うだけでは、他の経験と比べることによって、この経験の価値を貶めてしまうことになるだろう。そもそも、どんな経験とも比べることなどできない体験なのだから。

でも、アンドリューは、まだ、不安がっているみたいだった。私は、自ら現実世界に戻ることした。そして残っていた体力を使って、彼に、気が遠くなるほど激しくセックスされて、不満だなどとは決して思っていないことを伝えた。

そして、それから、私は声を上げて笑った。


つづく
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