通りのちょっと先に私の次の標的を見つけた。ビジネスマン。次の会議のことを考えている。
「ねえ、旦那さん」
私は横道から声をかけた。彼は無視した。無視する人もいれば、にらみ付ける人もいる。中には、すぐにおつりを求めて手を出してくる人もいる。
「ねえ、1ドルくれない?」
彼は立ち止まり、振り返った。怒ってる。「何だって? バス代か? 離れた街で仕事があるのか? おいおい、最近は、みんなサンダーバード・ワイン(参考)のことを何て呼んでるんだ?」
私はにやりと笑った。自分がどんな格好をしているか分かってる。ふん! 匂いもしてるのも分かってる。でも、私はこの通りやせてるし、小さいけど胸も張りがあるし、瞳も大きくて、くりくりしているし。誰でも、ひとたび、いい女だと認識したら、必ずちょっと立ち止まるもの。必ず。
「お酒は飲まないよ。麻薬もね。私のような娘には、そんなもの関係ないよ。頭がおかしくなっちゃうもん」
「ほお?」
彼の声が和らいだ。まだ足りない。まだ半分はこっち、半分はそっちのままだ。私は釣り針に餌をつけた。
「ストッキングなの」
そう言ってスカートを捲りあげる。ふくらはぎ。膝。太ももの途中まで。彼は私のいる横道に入ってきた。よく見るために。自分の目を信じてよいか確かめるために。あの細い脚。ガーターベルト。生地がこすれあう、あの囁き声のような音。
「君のような子が、ストッキングで何をするのかな?」 声がかすれている。
言おうと思えば、1000でも言える。飲み水の浄水用フィルター。投石のパチンコのゴム代わり。ねずみを狙うのより、犬を狙うのに適してる。風が強い夜なんかに持ち物を結び付けておくため。変装するため。日差しを避けるため。ものすごく寒い日に重ね着するため。
「あなたのような男を狂わせるため」
彼は、思慮深すぎて、横道のその場で私を犯すことはできなかった。たとえ影になっていて人から見えなくても。それも当然。私が何を持っているか分かったものじゃないもの。拳銃かもしれないし、ナイフかもしれないし、エイズかもしれない。でも、彼は私に20ドルくれた。彼の手が震えていた。勃起してくれてありがとう、お坊ちゃま。私はまだ良き自由人よね? それでいいのよね?
ストッキング、ありがとう、旦那さん。それでいいのよ。
[Reviewers' Comments]
彼女は汚れています。自分の家に連れて行き、母親に紹介したくなるような女の子ではありません。それでも、彼女には拒みきれない魅力があります。作者は私たちを、街の中のいかがわしい場所に連れて行き、私たちをそこに置き去りにし、私たちが身を捩じらせるのを待ちます。そして、実際、私たちは身を捩じらせてしまう。心地よい刺激があるからばかりでなく、ここで描かれている世界が、私たちが存在していないふりをしたいと思うような世界の一部でもあるから。優れたキャラクター。優れた会話。優れたストーリー!